暗黒100題

 

51・鋼に囲まれ

  眠るのね?

  チクチク痛い錆色(いばら)

 

 「なんてロマンの無い眠り姫!!」               『有刺鉄線』

 

 

52・縋りつくな、鬱陶しい。

夢を見るのは勝手だけどね

 

あたしは、ただの人間よ!                   『マリア』

 

 

53・耳が無くなれば音が消えて

  瞳が無くなれば光が消えて

  足が無くなれば、大地が消える?

  そんなわけない。

 

  僕が消えても、世界は消えない。                 『喪失』

 

 

54・飴色の机とか

  燻し銀の香炉とか

  つんとすました、陶器人形(ビスクドール)とか

 

  ひからびた、あなたとか。                   『アンティーク』

 

 

55・無理矢理もいで

  この背につけても

 

  空なんか、飛べやしないのにね。                  『羽根』

 

 

56・綺麗な声で歌うから

  愛らしい姿で踊るから

 

  お願い、この世界から出さないで                 『鳥籠』

 

 

57・拝啓、お父様。

  この庭は、とてもキレイで。

  何もかも完璧で、素晴しいのですけれど。

  そろそろ飽きてしまいました。

  もう、出ようと思います。

 

  お元気で。さようなら  ――――Eve              『EDEN

 

 

58・最初の言葉は撤回するわ

  この瞳から光が失せて

  この唇から血の気が失せて

  この身体から、熱が失せても

  それでも―――――・・・

 

  ねえ。

  最初の言葉は撤回するわ。                 『死ぬまで愛して』

 

 

59・「泡沫なんかじゃおわらない。」                   『泡沫』

 

 

60・人型から、人間へ!

  それは苦痛と苦悩と栄光の進化。

  神に逆らう力を(もたら)

 

  それは神の禁じた知恵の果実!                 『禁断の木の実』

 

 

61・癒すのも、狂わせるのも

 

  全て私の仕事でしょう?                   『薬』

 

 

62・「嫌いなモノだけ、イラナイものだけ

全て捨ててしまおう。」

 

―――――そしたら何も残らなかった。            『廃棄』

 

 

63・それさえなければ

あなたはただの人なのに                     

切なる願いにあなたは言う。

 

『詭弁だ。』                         『王冠』

 

 

64・長いスカート

  決まったワイシャツ

  よくわからないエンブレム。

 

  全て、私たちを屈服させるモノ。               『せいふく』

 

 

65・“安全”なんて言っといて

  僕を刺した、鋭い針

  人畜無害な笑顔の君も

 

  いつか僕を傷つけるのかな?                 『安全ピン』

 

 

66・あなたのその一言が

  針より深く突き刺さり

  毒より(むご)く私を焼く。

 

  お願い、私の存在(こと)を否定しないで。          『アイデンティティ』

 

 

67青酸(アーモンド)風味のビスケット

  不自然に赤いベリー・ジャム☆

  紅茶に一滴、隠し味v

  花瓶に飾るは夾竹桃。

 

  気狂い達のお茶会へようこそ!!               『お茶会』

 

 

68・いつだって殺してるじゃない

いいたいこと

やりたいこと

いろんな気持ち

いろんな欲望

いつだって殺してるじゃない

 

君が、君の意志で。                       『自殺』

 

 

69・そんな頼りないモノに

  最初から、すがろうなんて思わない。              『蜘蛛の糸』

 

 

70・自分のはわかるんだけど

  人のも、わかってるつもりなんだけど

 

  でも、あなたは私のそれをわかってくれないわけで・・・・      『痛み』

 

 

71・連ね  途切れ  継がれ  続く。

  この血に潜む螺旋運命

  鬱陶しいほど、絶対的な

 

  行き着く先は、一つだけなのに。                『螺旋階段』

 

72・なんとなく憧憬を抱いてしまう

  例えば、地平線に果てはなくて

  あの空に、果てはなくて

  そう、それは存在しないものだから。

  だから。

 

  ――――けど、ならば私の果ては?

  死んでも、“私”は続くのかしら?

  果てしない果てしない私の道。

 

  ・・・・なんとなく、絶望を抱いてしまう。             『果て』

 

 

73・夜の安らぎを

  無慈悲な烈光を

 

  忘れないで、ただそれだけ。                    『光と闇』

 

 

74・何をしても

  許されると思ってた

  夢に溺れ、幻想を孕み

 

  一瞬で過ぎた、あの頃の私。                     『少女』

 

 

75・私を裁くな!

 

お前はそれを犯したことはないのか!                 『過ち』