憶えているのは、青い空。

屋上から臨む広い広い空は、まるでどこか別の世界への入り口のようで。

僕達は、フェンス越しのそれを見ながら、ひどく憧れたものだけど。

ああ、だけど。

 

君は、そのフェンスを越えても何処に行けるわけでもなかったのに。

 

憶えているのは、青い空。笑う君。

僕の想像のつかないほど遠くへいってしまった君。

 

この心に、飛行機雲のようなかすかな跡だけを残して。



                                             061:飛行機雲











いってしまった人。でも、それも“飛行機雲”だから、いずれ消えるのです。